雫星記録帳

座右の銘は【因果応報】一創作オタクの徒然文

ポンポさんは物語作りのオタク心を心を抉る

「緊急事態宣言さんのバカー行きたいとこ色々あるのにーるろ剣最終章前編見てないのに今日後編上映じゃないかー」と仕事帰りに近場の映画館検索かけたら、やってるじゃないか『映画大好きポンポさん』。しかも今から行ける時間にやってるじゃないか。以前ツイッターで人気出た時に読んで、正直その一度きりの閲覧だったのに心のどこかに「よかった作品」として残ってた作品。映画化が決まった時も「よーし見にいくか。と言いながら見てない作品多いけどなガハハ」気分だったのに、今回ばかりは「気が向いた」の極振りです。

普段レディースデーにしか映画見に行かないケチンボオタク、最近気分が塞ぎ込みがちだったし今日は朝からおろしたてのストッキングのつま先大破したのもあって「なんかパァとしてぇ」と景気付けに行った部分も大きい。実は映画公開初日に行って見たのは人生初。一番多く映画館に通った刀剣乱舞でもそんなことしなかった。あっちは人気だから行ける時間帯が取れなかったと言う方が正しい。

閑話休題。個人的に行って正解でした。見て帰って速攻タブレット開いて衝動の赴くままに感想というか兎に角自分の感じたものを吐き出したい! という思いを胸に打ち込んでます。それだけの力を感じた。

ものすごく珍しく、というか初めてブログで映画の感想書きます。一度ツイッターでバズった支部の漫画という点もあり、映画のネタバレは挟みます

他人の感想を読む上で一番大事なのは!「感想は主観!」以上!!

 

 

……や、感想以前に映画見た後の一介のオタクの言動が全てを物語ってんですけどね。

普段全然感想を、ましてやブログで書こうとしない物書きオタクが、見終わった後帰るまで脳みそふわりんか状態で帰ったら帰ったで飯も食わず着替えもせず買っておいたカルピスソーダ(常温)飲みながら打ち込んでます。どこのジーン君だよ。つまりそういうことです。普段やらないことをさせる程度には、特定の人物の心ににこれでもかと刺さり抉る、そういったタイプの作品です。

では、特定の人物ってどんなんだ? 物作り、特に《物語》を作っている人々。

だと、一介の物語書きオタクは思った次第。「あぁでもねぇこうでもねぇどうなってんだ、これどうやって繋げようって思ったんだ?? こうか? こうすればいいんか? んん?? あーもー知らねーー! とか言いたい人生でした〜! 作ったの自分! 作ったもんのケツ拭くのも自分!! よっしゃーーーーこれでしまいじゃオンドリャーーー!!!」みたいな、生みの楽しみ苦しみをこれでもかと凝縮させたお話なのですから、何かしらお話を書く人の胸をゴリっと抉るお話です。

作中でもあるのですが、お話作るにあたってのアドバイスに「ピント」の表現があるんですよね。この映画も例に漏れず、かなりピントを絞って作ってきてる。その絞ったピントの先にいるのが、《物語》を作っている人々な訳です。そら抉られる。刺さるなんて可愛いもんじゃねぇ、ゴリっとアイス掬うやつで持ってかれる。作中でもポンポさんが「くだらない映画で泣かせる方がかっこいい」的なことを言うのですが(詳細は自分で見て。大事なところなのにニュアンスでしか覚えてない)、まさにそれ。なんで感動シーンらしい部分じゃないのに泣いてんだろうな自分……しかも少なくとも2回はポロポロ泣いちまってた……。ポンポさんの言うことは《物語》を生み出すにあたっての名言しかねぇ……それが声と色と動きを得て説得力マシマシ。そうなんだよなぁ周りから切り離されて一人の空間にのめり込んでしまうもんなんだよ、と、うっかり自分を重ねてしまうので、私は完全に製作側の意識するピントの向こう側に突っ立ってる物語書きです。

 

作品の大筋は原作漫画まんまなので言及しませんが、兎に角特定の人物……商業であれ趣味であれ、物語を作る人々の胸を打つような作品に、映画ならではのパンチを乗せまくって出来上がっていることは確かです。テンポのいい脚本や台詞回しもさることながら、特に映像美というか、詳しい言葉までは分からんのですが、シーンごとの切り替えが独特で見てて楽しいし説得力が凄い。一切の妥協がない。絶対最後まで飽きさせずにエンドロールまで見させてやる、という製作陣のこだわりを感じた。

漫画などの原作付きの映像化では大体「大丈夫なのか?」と思う映画オリジナルキャラ&展開についても、一応言及。期待度低めで行ったこともあったのか、これまた入れ方と原作との絡め方がめちゃ上手くて「ほほぉー、それが来たか!」と、アハ体験よろしく膝打ったので、その辺の不安要素は薄いかと。この辺りはうまいこと展開に合わせてきてるので、見てくれとしか言えぬ。

あと、原作通りといえばそうなんですけど、見ている間のストレスがない。大抵のお話は展開の盛り上げや掘り下げなどの関係で登場人物同士のやり取りに「ピリリ」としたものを入れるかと思うのですが、こと『ポンポさん』に関しては、それ全く必要ない描写なんだよな。てか要らねぇ。

このお話はあくまで書き手の苦悩と快楽を味わうもの。世間一般から切り離されて生きてる目の光がねぇタイプのオタクに自分を重ねて「分かる……わかりみ……めちゃ分かる……」と、もんどり打ちながら見る作品だぞ、オタク(作者)と作品との間に他人が入る余地あるとでも思ってんのか? と、私は受け取りました。

語りたい部分というか、特に後半「あぁぁ分かるこれが作品作りの醍醐味にして苦悩!! そうなんだよ作るか死ぬかなんだよ!!」と、胸の内で頭抱えながらも完全同意してた点について延々と繰り返し言いそうになる魔力がある。映画になることによって得られる没入感を、製作側はきちんと分かってたんだろうなぁ。ベースにあるものを活かしつつテンポを殺さず。単純に見えて、けれど決して簡単ではないからこそ、ピタリと決まっていたら見る側にも伝わるんですよ。言いながら自分の書いた作品について思いを馳せてしまう。これだ! と思った展開と全体のテンポとの組み合わせは、物語作りに於いての命題ですよ。

 

『映画大好きポンポさん』は、最初に言ったように鑑賞対象をだいぶ絞って、けれど対象の心を抉って動かしてやる! 作ることへのエールだ!! という熱意をこれでもかと感じるので、何かしらのお話書いてるってタイプのオタクはこれ見て心を抉られつつも元気と勇気と活力を貰ってくれ。きっとこれは作ることへの応援なんですよ。少なくとも私はそう受け取り、めちゃくちゃ元気出ました。

 

相変わらずのぐだぐだ一発書き感想ですが、言いたいことは全部吐き出せたのでこの辺で締めます。カルピスソーダも飲み切ったし。

ちなみに事前情報ゼロで行ったため入場特典を知らず、しかも前後編やとー!? ちくしょう後編めっちゃ気になるやつぅ。人質(?)に取られちまった……今回は中央後方の座席で没入感マシマシで見れたので、次回は前方で見に行きます。

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原作再現度ですか? 「上映時間90分」以上に説得力ある言葉ある? ない。